一度形成されたトレンドはその動きを継続する傾向がある。
上記はトレンドの基本概念の一つです。
世間一般の億トレーダーと呼ばれる方々で、この横ばい相場のみで成り上がった人はほとんどいないと考えられています。
一度形成されたトレンドは一定期間継続するのでトレンドに乗る(トレンドフォロー)ことが大きな利益を上げるための最も良い方法とされており、それだけトレンドとは重要なものなのです。
目次
そもそもトレンドラインとは
トレンドとは
トレンドラインとは何かを考えるにあたり、そもそもトレンドとは何かが大前提の定義として必要なため、まずトレンドを定義します。
ずばりトレンドとは
「相場における高値と安値の方向性のこと」
です。
基本的に相場は一直線では動きません。
ジグザグに動く株価や為替の値がどの方向に向かおうとしているのかを把握するために指定された期間における値動きの高値と安値が上がっているのか、それとも下がっているのかを見ることで相場の大まかな方向性を把握します。
そしてそのトレンドの方向性を視覚化してわかるやすくしたものがトレンドラインです。
トレンドラインの3つの方向と3つの種類
トレンドラインには以下の3つの方向があります。
・上昇トレンド:高値・安値が切り上がっている
・下落トレンド:高値・安値が切り下がっている
・横ばい:高値と安値がほぼ横ばいに推移する
上昇トレンドか下落トレンドの2択ではないことが重要です。
控えめに見積もって相場全体の3分の1はこの横ばいの動きになるからです。
トレンドの方向という書き方をしましたが、実質トレンド未発生ということになります。
また、トレンドは短期・中期・長期の3つの期間に分けられます。
一般に、2-3週間未満のものを短期トレンド、3週間~数か月の長さのものを中期トレンド、1年以上のものを長期トレンドと定義されています。
*あくまで一般的な定義なので各人の投資、トレードの時間軸にもとづいて再定義しても構わないと思います。
相場はジグザグに動くを先述しましたが、それはつまり、トレンドの繰り返しによって成り立っているということです。
例えば週足のチャートでは横ばいであっても、4時間足でみると上下に激しく動いているということもあります。
要するに、今の相場が3つの方向のどれにあたるかは時間軸によって異なるということです。
例えば、
週足チャートでは下落トレンドだが4時間足でみると上昇している。
=中期的には下落かもしれないが、短期的に反発(上昇)するかもしれないので短期間という前提のもとに買いでエントリーする
というような考え方ができます。
しかし、長期間のトレンドのほうが重要度はたかいので、自分がトレードしようとおもっている期間の少し長期のチャートも確認し、どちらも同じトレンドが発生しているときにエントリーするのが安心でしょう。
*もちろん確実ではありません。
トレンドラインの引き方
このブロックではトレンドラインの引き方について説明します。
大前提:値動き全体の安値(高値)を結ぶ
わざわざ書くことじゃないだろ!と怒られそうですが、念のためです。笑
しかしトレンドラインについて話すとき、必ず出てくる批判があります。
「チャートが形成されたからラインが引けるだけであり、実際にどうなるかはわからない」
というものです。
「実際にどうなるかわからない」に関しては同意しますが、どうなるか推察するための一つのツールとしてトレンドラインがあるという認識でいてもらえたらよいと思います。
さて、批判の前半部分「チャートが形成されたからラインが引けるだけ」に関して述べます。
この批判はある程度的を得ています。
そのため、トレンドラインの引き方を暫定トレンドラインと有効トレンドラインという二段階にわけて引く方法を推奨します。
1.暫定トレンドラインを引く
そもそもトレンドが存在するという証拠を示すために、二つの切りあがった安値(上昇相場の場合)が必要になります。
そしてこの二つの切りあがった安値を結ぶことで暫定トレンドラインが完成します。
2.有効トレンドラインかどうか検証する
あくまで暫定のトレンドラインが引けているので、それが本当に信頼できるトレンドなのか確かめるために検証をします。
検証といっても単純で、3回目の下落が暫定トレンドライン上でとまるかどうか確認するだけです。
3度目の反発がライン上で確認できたら、そのトレンドラインは有効なものとして活用し、以降支持線として機能します。(後述)
冒頭で述べたように、一度形成されたトレンドは継続することが多いため、有効なトレンドの確認、そしてそのトレンドに乗ることが重要になります。
トレンドラインをわずかに突破した場合は?
日中の安値ではトレンドラインを下回っているが終値ではトレンドライン上に回復している場合はトレンドラインを書き直すべきか。
これに関してはまだ明確んば結論は出されていないが、個人的には無視でよいのではと考えています。
理由は、終値の重要性です。
一般に引けの時間にかけて機関投資家がポジションを手仕舞います。
市場のほとんどは大口投資家の資金と考えられるため、彼らのトレードの最終的な着地である終値のほうが日中の動きよりも重要と考えられるからです。
ただ、その後の値動きで既存トレンドラインの有効性が保たれているかを計測して確認することが一番大切ですね。
トレンドラインの使い方
トレンドラインとは何か、そしてその引き方がわかったところで実際の活用方法を見ていきましょう。
押し目買い、戻り売りの目安として利用
トレンドラインの最もシンプルでわかりやすい使い方になります。
しつこいようですが、一度形成されたトレンドは継続するという前提に基づき、トレンドラインを支持線として、相場がトレンドラインまで戻ったタイミングで押し目買い、もしくは戻り売りのエントリーを行います。
ここで、そもそもなぜ支持線や抵抗線というものが機能するのかを説明します。
テクニカル分析において非常に重要な部分になるので、ぜひご一読ください。
支持線・抵抗線はただその存在が知られているから機能しているというだけでは決してなく、相場参加者の心理的行動に基づいています。
相場参加者は大きく分けると買い手、売り手、傍観者の3者に分類できます。
ここで下記画像のような横ばい(=トレンド未発生)でもみ合いの相場から上に抜けたとします。
この時の点A・点Bでの3者の心理状態を考えます。
①買い手
上昇してくれてシンプルにうれしい!だけど上昇するならもっと買っておけばよかった。。
②売り手
自分の選択は間違っていた。。。損益分岐点で手仕舞えるように売った水準まで下落したら買い戻そう。
③傍観者
相場の上昇が確認できた。またいい機会(買い場)が来たら今度は買おう。
その後はこの心理状態の繰り返しです。
このように横ばいだった水準に再び相場が下がった場合、参加者すべてが買いを考えているということになります。
そのため、その価格帯が支持線として機能するというわけです。
同様にトレンドが形成された場合は、多くの参加者がとのトレンドに乗ろうとします。
しかしできるだけ安い価格でエントリーしたいため(上昇トレンドの場合)、一定水準までの下落を待ちます。その目安となるのがトレンドラインということです。
一方で、支持線は一度ブレイクされるとその役割が一転して今度は抵抗線になります。
これは先程の買い手と売り手の反応が逆になるためです。
買い手は自分のポジションの間違いに気づき、損益分岐点での決済(=売り)を望みます。
つまり、先程安値での買いだった水準が、今度は高値での売りの水準に転化するのです。
これが抵抗線として機能する理由です。
勘付いている人もいるかもしれませんが、この支持線・抵抗線のブレイクには相当なパワーが必要となります。
みんなが買いで考えていたにも関わらず下に抜けるということですからね。
そのためパワーのないブレイクはいわゆるダマシになります。
パワーとはつまり出来高のことです。
出来高やダマシについては別記事で解説しているので、ぜひ読んでみてください。
ファン理論
ファン理論とは、下記のようなときのことを言います。
簡単に上記画像の相場を解説します。
①上昇トレンドがブレイクされて価格がしばらく下落
②反発して、上昇トレンドラインまで上昇するがラインを超えられずに反落
③2本目のトレンドラインが引けるがこれもまた下方向にブレイク
④再度上昇するが③のラインを越えられずにまた下落
⑤3本目のトレンドラインが引けるがこれを下方向にブレイク
⑤の3本目のトレンドラインをブレイクされるとさらに下落する兆候となります。
ファン理論の名前の由来はファン(扇)のように次第に水平になっていく直線の動きです。
重要なのは、3本目のトレンドラインのブレイクは有効なトレンド転換のサインとなるということです。
ちなみに上の画像は創作なのできれいすぎますが、実際のチャートではこんな感じになることが多いです。
3本目のトレンドラインのブレイク以降、明確に下降トレンドになっているのがよくわかると思います。
チャネルライン
チャネルラインはトレンドラインと併用することで意味をなすラインです。
補助的な役割ですね。
トレンドラインが新規の買いのタイミングとして使われるのにたいして、チャネルラインは短期売買の利食いの目安として使われることが多いです。
上記のようにトレンドライン(赤実線)にたいして平行に引かれるのがチャネルライン(赤点線)です。
引き方はシンプルで、トレンドラインができている状態で、最初の高値(上昇相場の場合)からトレンドラインに平行に線を引くというものです。
チャネルライン上で反落すればチャネルが完成します。
チャネルラインの使い方としては大きく2つあります。
1つ目は先述したように利食い水準、もしくは新規の売りのエントリー水準としての使用方法です。
しかし、これはトレンドに逆行するトレードになるため、比較的損失がでる可能性が高くなります。
繰り返しになりますが、トレンドは継続するので乗っかるのが定石です。
2つ目はトレンドの勢いの推測です。
上昇相場でチャネルラインを上方向にブレイクしたらそれはトレンドの加速を意味します。ここで新規買いのエントリーもしくは買い増しをする人もいます。
逆にチャネルが形成されているにもかかわらず、チャネルラインに到達しなかった場合はトレンドの減速を意味します。(下記画像参照)
その後のトレンドラインのブレイクの可能性も考えられるため、逆にトレンドラインが抵抗線に転換していくケースもあります。
リトレースメント比率
ここまでの説明でお分かりの通り、相場は決して一直線ではなく上下を繰り返しながら推移します。
リトレースメント比率とは、いわゆる調整局面での調整幅のことです。
上昇トレンドであれば、押し目が来た際の高値からの下落率ですね。
このリトレースメント比率ですが、どれくらいの調整幅が適切かについて大きく2パターン捉えられています。
一つ目は高値から50%の水準で反発したら押し目買いを検討するというパターンです。
直近10,000円だった株価が20,000円に上昇した後の調整局面をむかえ、15,000円以上の水準で反発したらトレンド継続、適切な調整と考え、押し目買いをします。
二つ目は高値から33%下落のラインと66%下落のラインを設けることでパターンです。
高値から3分の1と3分の2のところで目安を設けるということですね。
この場合は一般的に33%の下落で反発したら適切な調整を考えて押し目買い、66%のラインを下回ったら、それはもう調整ではなくトレンド転換として決済の目安にします。
ちなみに66%のラインでの反発はよりリスクの少ない安全な押し目買いと考えます。
私の考えでは、50%という一つの目安を持つより、目安を二つ設けてそれぞれのラインに役割をもたせる方が方法をしてはだと思っています。
そして次のスピードラインという線の使用法でもこの二つ目の考え方に基づいています。
スピードライン
スピードラインとはトレンドラインとリトレースメント比率の組み合わせによって引くことのできるラインです。
論より証拠ということで、下記画像がスピードラインになります。
引き方はまず、直近の高値から垂直線を下に引き、3分の1ごとに区切ります。
次にトレンドの始点から各区切りポイントまで線を引きます。
高値から3分の1のところと結んだ線で反発したら押し目買い、高値から3分の2のところと結んだ線をブレイクしたらトレンド転換を警戒する(反発したら押し目買い)というような使い方ですね。
非常にわかりやすい目安として活用することができるので私はトレンド分析を行う際にはこのスピードラインを活用しています。
(もちろん他の指標も見ますが)
お気づきかもしれませんがこのスピードラインは相場が上昇し、高値を更新したら改めて引き直す必要がありますので、その点はご注意ください。
おわりに
いかがでしたでしょうか?
トレンドラインの意味、使い方をご理解いただけたでしょうか?
トレンドラインが引けるようになるだけで相場の見方が大きく変わり、今後の値動きがぐっと予想しやすくなります。
自分が引いたトレンドラインに沿って相場が反発したりした時は本当にうれしいですし興奮します笑
最後まで読んでいただきありがとうございました!