今回は多くのトレーダーや投資家に使用されている「ストキャスティクス」について解説します。
そもそもストキャスティクスとはなんなのか、その使い方や計算方法、さらによく混同されいているRSIとの違いについても解説していきますので、ぜひ読んでみてください。
目次
ストキャスティクスとは?
そもそもストキャスティクスとはなんなのでしょうか?
日本語訳すると確率論のような意味になります。
先にけ結論だけ述べておくと、買い手と売り手のどちらが勢力を強めているのか、弱めているのかを教えてくれる指標です。
アメリカのチャート分析家であるジョージ・レーンが考案したもので、0%から100%の間で推移し、買われすぎや売られすぎの状態にあることを教えてくれます。
ストキャスティクスは「%K」「%D」「%SD」という3つの指数で構成されます。
そしてその組み合わせによって2本の線を構成し、それがストキャスティクスと呼ばれていて、ストキャスティクスは2種類あります。
1つ目はファストストキャスティクスです。これは%Kと%Dの組み合わせ表されます。
2つ目はスローストキャスティクスです。こちらは%Dと%SDの組み合わせです。
詳細は下記に述べますが、ファストストキャスティクスは、ダマシの発生率が高いため、基本的にはスローストキャスティクスを使います。
いきなり小難しいですよね。もう一つ小難しいその計算方法をまず書いて置きます。
そのあとにわかりやすく説明していきますのでしばし辛抱ください。
*シンプルに使い方がわかればよいよいう方は読み飛ばしてかまいません。
ストキャスティクスの計算方法
%K=100×|(直近の終値ー過去9日間の最安値)÷(過去9日間の最高値ー過去9日間の最安値)|
%D=100 × {(直近の終値ー過去9日間の最安値)の3日間の合計}÷{(過去9日間の最高値ー過去9日間の最安値)の3日間の合計}
超簡潔にこの計算式の意味を説明すると、
単に終値が選択した期間の値幅の中でどの位置にあるかをパーセントで表したものとなります。
計算方法をよりわかりやすく
%Kをまずかみ砕きましょう。
計算式を文章で表すと、「直近の終値が過去9日間の最安値と比べてどれだけ高いのか(安いのか)」を「過去9日間の値動きの差」で割ったものです。
もう少し噛み砕くと、「現在の株価が過去9日間の値動きの中でどのくらいの位置にいるのか」ということになります。
例)直近の終値=20円、9日間の最安値=10円、9日間の最高値=100円の場合
100×|(20-10)÷(100-10)|=11.11%
この場合、直近の終値は9日間の値動きにおいて11.11%の水準にあるということを意味します。これが%kです。
次に%Dを噛み砕いていきます。
といってもこちらは単純で、%Kの3日移動平均線です。
つまり直近の終値が過去9日間のどの水準にいるのかというものの3日間の平均水準ですね。
特に計算方法などは記載しませんが、%SDは%Dの3日移動平均線を表します。
必然的に%Kが値動きに対して一番敏感に反応し、%SDが一番緩やかに反応します。
そのため、%Kでは売買のタイミング発生も頻発しますが、それゆえにいわゆる「ダマシ」も多く表れます。
従って、先述したようにスローストキャスティクスを用いるのが基本です。
間違った使い方が多すぎる!?
肝心の使い方について解説します。
が、まずこのストキャスティクスの使い方を本やネットで調べると、間違った解説が多すぎます!
僕のようにブログで書いている人なんかは具体的なチャートも示していない人もいます。
おおかた本やネットで見た情報をそのまま転記しているだけだと思いますが、そんなものが正しいわけないです。
私が自分でチャート分析をするうえで実際にストキャスティクスと株価を見続けて、何が間違っているのかを説明していきます。
間違った使い方①80%を超えたら売り、20%を下回ったら買い
一番よく言われているのがこれです。
一般的にストキャスティクスは「80%を上回ったら買われすぎ、20%を下回ったら売られすぎ」と言われています。
これ自体には何の問題もないのですが、問題は単純にその基準を超えただけではエントリーのタイミングにはならないという点です。
大原則として、ストキャスティクスのこの80%、20%のルールは、レンジ相場でしか効果を発揮しません。
上昇トレンド時には、すぐに買われすぎの状態になり、売りシグナルを連発します。
下降トレンド時には、すぐに売られすぎの状態になり、買いシグナルを連発します。
しかし、トレンドができているので、シグナルがでたからと言ってエントリーすると、思いっきり踏みあげられることになってしまうのです。
上の画像の印をつけた部分がそれにあたります。
見たらすぐわかりますが80%超えたタイミングは全く売りのタイミングではありません。
長期の指数移動平均線が上向きになっていて、完全に上昇トレンドになっているためです。
あと印付け忘れましたが、その少し前のところで下落トレンド中に20%を下回ってますが、これも同じですね。20”%を下回ったタイミングで買いに入っていたらとんでもなく損失を出しています。
トレンドができているときには、基準を超えたからと安易にエントリーしてはいけないのです。
間違った使い方②2本のラインがクロスしたらエントリー
僕が最も憤りを覚えているのがこの使い方です。
具体的には、「ストキャスティクスが80%以上で、%SDが%Dを下抜けたとき」もしくは「20%以下で、%SDが%Dを上抜いた時」に売買するというものです。
これの何がダメかというと、リアルタイムで活かせないのです。
過去のチャートを振り返った時に「クロスしてるところが売買ポイントだね」なんてことを言ってるわけです。
ただ冷静に考えてみてください。
そもそも%Dも%SDも移動平均線なんです。つまり相場の動きからは当然やや遅れて反応します。
さらに2本がクロスしたときといっても実際の相場ではこれからクロスするのか、それともただ触れ合っただけなのかはわからないんです。
上の画像を見るとたしかにクロスのタイミングで取引すれば利益は上げられそうにみえます。
1つ目の印なんかは顕著にそうですよね。
2つ目の印を見てください。これも一見クロスのタイミングで売りから入ったら短期的に儲かりそうです。
しかし、実査にリアルタイムでチャートを見ていると思って考えてください。クロスのピンポイントで「あ、%SDが下抜けたな」と思えなくないですか?
明確に下回って初めてクロスしたと認識ができるわけです。そうなると、もう時すでに遅しなわけです。
繰り返しになりますが、売買のタイミングでとして使えると思えるのは、結果がわかっているからこそで、リアルタイムで使おうと思うと激ムズ、というかわからないのです。
*「ピンポイントだと信じてエントリーして損切りラインも先に決めておく」という方法ならよいと思います。若干ギャンブルの要素が入ってくるのですが、100%わかるなんてことはありえないので。
では正しい使い方とは何なのか
散々間違っていることを指摘しておいて自分の考えを述べないのでは、国会でヤジを飛ばすだけの野党みたいなので、ちゃんと僕の思う正しい使い方を説明していきます。
先に言っておきますが、100%当たるわけではありません。当たり前ですが。
先述した間違った使い方より信頼できる方法という程度という認識でお願いします。
正しい使い方①価格との乖離発生時に売買する
これは別記事で書いた”MACD”の使い方の使い方の一つと同じです。
MACDとはなんなのか!?見方・使い方をわかりやすく解説!
株価が高値を更新しているのに、ストキャスティクスが前回の山よりも低い場合、売りでエントリーします。買いポジションを持っていたら利益確定します。
理由は単純です。「株価上昇=買い圧力が強い」ということですが、買い手・売り手の勢力を示すストキャスティクスは前の高値より低いということは、実際には買い手の勢力はそこまで強くないor弱まっていることを意味します。
そのため、このような価格との乖離発生時にエントリーするのです。
正しい使い方②トレンド発生時に基準を下回ったら買い
これは先程述べた間違った使い方①と使い方としては似て非なるものです。
正しい使い方は上昇トレンドの時に売られすぎている、もしくは下落トレンドの時に買われすぎているポイントでエントリーするというものです。
この方を使うためにはストキャスティクス以外の指標も用いる必要があります。
といっても難しいものではなく、ただの指数移動平均線です。
指数移動平均線の週足を用いて日足のストキャスティクスを併用します。
つまり、週足が上昇トレンドの場合に日足のストキャスティクスが20%を下回ったら買い、逆に週足が下落トレンドの場合に日足のストキャスティクスが80%を上回ったら売りといった使い方です。
要するに押し目買いの目安として使う方法です。
この方法の場合も、トレンド転換の可能性を考慮して、週足のトレンドラインをブレイクした少し下(下落トレンドなら上)に損切りのラインを設定するべきです。
ちなみにこの記事では週足と日足というように話しましたが、それぞれのトレードの期間に合わせて使ってみてください。
正しい使い方③新規エントリーの指標として使わない
ここまでエントリーのタイミングのための使い方を説明してきてなんだよと思うかもしれませんが、これは僕が上で述べた正しい使い方に対して、
「いやいやお前のそれも結局のところ結果論じゃん」
と思った人向けの使い方です。
つまり、本当に買われすぎエントリーすべきかわからないという人は、自分の持っているポジションを決済するときの目安として使えばよいのです。
もし「買いのポジションを持っていて、利益が出ている、そしてストキャスティクスが80%を超えたとなったらとりあえず利益確定する」といった感じです。
ストキャスティクスがエントリーポイントになるか懐疑的であっても、実際に80%以上が一定期間において買われすぎのラインにあることは計算上正しいので、そのタイミングで利益確定する、その一つの目安として使うのはどんな人にもつかえる方法だと思います。
おわりに
いかがでしたでしょうか?
今回はストキャスティクスの説明をしました。
記事にも書きましたが、間違った使い方をしている、解説している人がおおいので、ぜひ僕の記事を読んで参考にしていただけたらと思います。
他にもみなさんの投資の参考になる記事を書いているので、よかったら見てください。
読んでいただきありがとうございました。